好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



(………)
 

もしかして


(るうちゃん、さっき白ちゃんのことそう呼ぼうとして怒られたの?)


『………』
 

涙雨から返事はなかった。かわりに、がっくりうなだれた。


(……大丈夫?)


『……涙雨は、黒の若君の式の中で新参者ゆえ、幼き頃のお二人を知らなんだ。

白の姫君のことも、若君からの話しか聞いていなかったゆえ、おなごじゃと思っておった。

しかし逢ってみたらあの様でのぉ。

黒の若君との話の中ではずっと『白の姫君』と呼んでおったゆえ、なかなか癖が抜けなんだ』


(……大変そうだね)