(………) もしかして (るうちゃん、さっき白ちゃんのことそう呼ぼうとして怒られたの?) 『………』 涙雨から返事はなかった。かわりに、がっくりうなだれた。 (……大丈夫?) 『……涙雨は、黒の若君の式の中で新参者ゆえ、幼き頃のお二人を知らなんだ。 白の姫君のことも、若君からの話しか聞いていなかったゆえ、おなごじゃと思っておった。 しかし逢ってみたらあの様でのぉ。 黒の若君との話の中ではずっと『白の姫君』と呼んでおったゆえ、なかなか癖が抜けなんだ』 (……大変そうだね)