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隣で母が寝ている。真紅の方を向いて、絶対に寝返りを打っていないのだ。
ある種の根性を感じる。
真紅はなかなか寝付けないでいて、コロコロしていた。
そのうちうつ伏せになって頬杖をつきながら、枕元のカゴで丸くなっている涙雨を見遣った。
母が、この部屋で唯一の娯楽だったような観葉植物を入れていたカゴを空けてくれたのだ。
タオルを敷いた即席のお部屋に、紫色の小鳥は収まっている。
母を気遣ってか、白桜と別れてから涙雨は一言も喋っていない。
(……ねえ、るうちゃん)
頭の中で話しかける。
母を起こすのは忍びないし、声にしていいかもわからない。
架に忠告されたばかりだ。



