好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



天音という名も白桃が与えたもので、かつての通り名は『鬼神の天女(きしんのてんにょ)』という。


「お前も夜警終わったら、大人しく帰って少しは寝て置け。いくら睡眠時間少なくていいって言ったって、身体は人間だ。無理は積もるぞ」


「おー。白はこのまま帰邸(きてい)?」


「客人だ」
 

すげなく返して、白桜はそのまま家に向かった。
 

涙雨が寄越した伝令。どうやらこれから来客がありそうだ。