好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



黒藤はため息をついた。


「………梨実海雨についた妖異を喰らったのは、真紅か……」


「今は紅緒様によって封じられてるから、真紅というよりは真紅の潜在能力とでもいうべきかもしれない。

幼稚園から一緒だと言っていたから、恐らく海雨の命は、その頃に尽きるはずだった」


「妖異によって落命するはずだったものが、なまじ力のある真紅が近くにいたから、妖異の方が真紅に負け残滓のみを残して滅んだ」


「……真紅には言っていないが、現在海雨の命は、残滓で繋がれているフシがある。

十年も前に終わるはずだった命を、今まで繋いできたんだ。いくら始祖の転生の力が強大とはいえ、無意識でそこまで出来るとは考えにくい。

妖異が遺した力が生きていることによって、海雨の命も、また……」
 

そこまで言って、白桜は歯噛みした。