好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



恐怖はなかった。


ただ、真紅をじっと見てくる妖異たち。


その姿に最初は驚いたけど、怖いとは思わなかった。
 

母は、そっと真紅の肩を抱き寄せた。


「……いつか、真紅ちゃんの旦那様が見たいわ。私とも仲良くしてくれたら嬉しいわね」


「………うん」
 

叶うなら、あの人がそう在ってくれたら。
 

真紅は、母の肩に額を押し付けた。