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真紅の誕生日は、明後日だ。二日後の真昼に、真紅は生まれた。
(あと……一日と十二時間)
真紅は、初めて見る時計を見て、そう心の中で独りごちた。
時間は深夜零時。いるのは、母・紅亜のアパートだ。
真紅が住んでいたのと同じくらいの狭さ。
家具も電子機器も最低限で、リビング兼ダイニングの場所には、母と真紅の布団を二組敷けばいっぱいになってしまう。
……母は、ここに一人だったんだ。
白桜に、母の許へ送り届けられた真紅は、笑顔の母の胸に飛び込んだ。
考えることがたくさんありすぎて、不安なことがたくさんありすぎて、少しだけ童心に還りたくなった。



