母は哀しかっただろうか。
自分が幼い頃に逢いに来てくれた妹が、家の為に永い眠りについたこと。
それでも、約束を残してくれたこと。
……今日から、母と一緒だ。訊ける機会が、あったらいいな。
「だからね、ぼんやりとなんだけど、これから先はママとは離れていたくないっていうか。
……もし結婚する人がいたらママとは仲良くしてもらいたいし、出来たら……一緒に暮らしてもらいたい」
真紅の気持ちを聞いた架は、兄に報告することを決めた。
「な、なんかマザコン発言だよねっ」
恥ずかしくなった真紅は、取り繕うようにあははと笑う。
だが、架は笑わなかった。



