「……白ちゃんと黒藤さんって、どういう関係なのか知ってる?」
「幼馴染って言ってるよ。若君のが一つ年上だけど。最近まで若は、影小路の本家にいたんだ。跡目争いってやつで」
「確か紅緒さんは先代なんだよね? それで今は黒藤さんが後継者って……」
「本来は紅緒様のすぐ跡は、若君だったんだ。紅緒様が眠られた当時まだ一歳だったから内部で反発があって、紅緒様の代で当主名代だった方が襲名されて、今も当主を務めておられる。
去年若君が十六歳を迎えられて、正統なる後継者である若君を当主にと推す声が強まって来たんだ」
「……でもさっき、黒藤さん……あ、でもって言っちゃった」
真紅が慌てて口を押さえると、架は軽く笑った。



