好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



恐らく真紅の覚醒というのは、昨日、病院を出たあとの夕陽を見た瞬間だ。


そのとき、真紅を襲ってきたものを脳が理解し、真紅に教えて来た。


少しずつ姿が視えるようになった妖異。


そして、真紅はそれが視えることに違和感を覚えなかった。


それが当たり前だと感じていた。


海雨の周りに黒いものが漂っていることにも気づいていたことに、気づいたのだ。
 

本当は、真紅自身はずっと前から知っていたのに、巨大すぎる封じの力で抑え込まれ、気づかないようにさせられていた。


……それが、母の妹が決めた真紅の助け方。


「でも、それがなんだかわからない。……だから、白ちゃんに手伝ってもらうの」
 

すでに陰陽師である白桜。海雨のことも、協力してくれると言っていた。


「そっか。……俺に出来ることお二人ほどはないけど、なんでも言ってね? なんて言ったって真紅ちゃんは兄貴の彼女なんだから」