「真紅?」 「んー……? ママ……? 今日は遅かったね……」 「真紅―? おーい、ママじゃねーぞー」 「……え。ええっ⁉」 がばっと飛び起きた真紅はうす掛け一枚握って窓際まで飛び退った。 「なっ! 何あんた! どやってここに入ったの! 警察呼ぶよ!」 「やっぱ混乱するよな……」 黎は雑に頭を掻いた。 そりゃ、眠る前は出欠多量で死にかけていた意識だ。 そしてあの口ぶりは、今この場で血を吸いつくされ命を終えることを望んでいる言葉だった。 一瞬、何と言うか考えた。