好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「『十字架』だ。架という名づけの由来は知らんが、兄が吸血鬼で本人の名にも入っているから」
 

十字架の架、ということか。


「桜城くんの呼び方カッコいいね」


「……笑い飛ばしてくれていいよ……」
 

架がどんどこ落ち込んでいく。


そんな経緯があって、架は白桜が苦手なようだ。


さっきも、逢った瞬間唸っていたし。


「真紅は、紅亜様の家に連れて行けばいいんだよな?」


「えっ? 一人で帰れるよ。それに海雨――さっき話した友達の病院にも寄るつもりだし」


「そうか? では俺も一緒していいか? 黒と紅亜様に、真紅は送り届けると約束したし、その友人とやらも一度見ておきたい」