「『十字架』だ。架という名づけの由来は知らんが、兄が吸血鬼で本人の名にも入っているから」
十字架の架、ということか。
「桜城くんの呼び方カッコいいね」
「……笑い飛ばしてくれていいよ……」
架がどんどこ落ち込んでいく。
そんな経緯があって、架は白桜が苦手なようだ。
さっきも、逢った瞬間唸っていたし。
「真紅は、紅亜様の家に連れて行けばいいんだよな?」
「えっ? 一人で帰れるよ。それに海雨――さっき話した友達の病院にも寄るつもりだし」
「そうか? では俺も一緒していいか? 黒と紅亜様に、真紅は送り届けると約束したし、その友人とやらも一度見ておきたい」



