好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



何も知らないことを許されて来た十五年。


その間にこの白い陰陽師は、この紫色の小鳥は、どんな世界で生きて来たのだろう。


掌から真紅を見てくる小鳥は首を傾げるような動作をした。


「何を謝ることがあるさ。稼業(かぎょう)が嫌だったら、俺も家出だろうとなんだろうとしている」


「貴方がそんなことしたら若君が御門から集中抹殺されるだけです」
 

架の言葉に、白桜はまた舌打ちをした。


白い陰陽師と言われながら、ところどころで黒さを見せる同い年だ。


そして白桜が家出なんかしたら、黒藤がそそのかしたと思われるということか。


これは涙雨も否定しなかった。