好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



通じるかわからない? それは――


「黎に、なんの害もない可能性もあるってこと?」
 

声を上ずらせる真紅に、しかし白桜は顔を渋くさせた。


「……黎明のと真紅に関しては、総てが否定出来ない、という言い方しか出来ない。言ったように、前例がないからな。

真紅の血に関しても、どの程度の濃さかという話にもなってくる。紅亜様と真紅が桜木家と絶縁している以前に、退鬼師・桜木はもう廃れてないものなんだ。

今の桜木の血族に、退鬼師性のあるものはいないはずだ。

真紅は小路の血も引いているから、今妖異の類(たぐい)が視えているのかもしれない。

……せっかく頼ってくれたところをすまないが……」
 

申し訳なさそうに眉をしかめる白桜。


総てが、否定出来ない……。