「どうなるかは、まだはっきりとは言えない。黎明のはあまり例のない混血だ。
そのために桜城の家を出て陰陽師である小埜家で育ったほどだ。何か不穏なことになれば、すぐに対応出来るようにと。
もとよりこの国に吸血鬼ってのはいないんだ。吸血性のあるものでいうなら蛭(ひる)なんだが、あれはあくまで動物であり妖異となっても動物霊だ。
ヒトと変わらない吸血鬼とは違う」
「……ひる?」
「田んぼとかにいる虫だ。皮膚から血を吸うところは吸血鬼と一緒だが、幽霊となっても意思を持つようなことはない。
……吸血鬼と鬼人の混血に、果たしてこの国の退鬼師の血が通じるかどうかもわからない」



