好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「今、私の身体には黎の血が流れているみたい。その前に黎は私の血を吸っているから、……今の黎には、私の血が流れている。

昨日黒藤さんに聞いた。桜城の血は、退鬼師の血だって」


「黎明のを廻る真紅の血か……」


「……私の血、が……黎に害悪を与えることは、ないの? まさか、……黎のこと――……」


「架」
 

白桜に呼ばれ、驚きが過ぎて呆然としてしまっていた架がはっと見返した。


「昨日、黎明のに逢ったんだろう? いつもと違う様子はなかったか?」


「いつもとって……俺にイラついていたぐらいしか変わりないと思ってましたが……」


「お前に? 何故」


「え、それは……」