「うん。あとは……わからない」
「その特徴で妖異だと考えると、烏の可能性かな……」
「からす?」
「烏天狗だ。妖力が高いために、ヒトと同じ姿をとることができる。それが真紅を襲う理由までは今はわからないが……刀で襲われたのか?」
「たぶん……背中をざっくりやられて、黎には致死量の血が出ていたって言われた。その傷も、黎が治してくれたらしいの。今はもうかすり傷のあともないよ」
「黎明(れいめい)のは鬼性(きしょう)が強いと聞いていたが、そこまで出来るか……。で、二つ目の真紅の心配はそこでいいのか?」
白桜に問われて、真紅は少しだけ視線を俯けた。
すぐにまた、その瞳には白い陰陽師が映る。



