好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「うん。あとは……わからない」


「その特徴で妖異だと考えると、烏の可能性かな……」


「からす?」


「烏天狗だ。妖力が高いために、ヒトと同じ姿をとることができる。それが真紅を襲う理由までは今はわからないが……刀で襲われたのか?」


「たぶん……背中をざっくりやられて、黎には致死量の血が出ていたって言われた。その傷も、黎が治してくれたらしいの。今はもうかすり傷のあともないよ」


「黎明(れいめい)のは鬼性(きしょう)が強いと聞いていたが、そこまで出来るか……。で、二つ目の真紅の心配はそこでいいのか?」
 

白桜に問われて、真紅は少しだけ視線を俯けた。


すぐにまた、その瞳には白い陰陽師が映る。