好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「……ですが、母上より強い者は、


「小路にはもう、黒ちゃんがいるでしょう?」

 
にっこり微笑むと、黒藤は更に押し黙った。


「紅緒は、真紅ちゃんと私と一緒に暮らすと思うわ。無涯のいない本家にも別邸にも、紅緒は用がないから」


「……父上だけが、母上の理由でしたか」


「そうね。無涯だけが、紅緒があの古くさい邸(いえ)にいた理由よ」
 

むがい、とは、どうやら黒藤の父の名前らしい。


黒藤も複雑な理由がありそうだが……。
 

黒藤は、しかめっ面を隠さない。


「黒(くろ)、紅亜様。今は無涯のことより真紅嬢のことだ」