好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



『期日が迫って母上の術の効力が切れているか、真紅の内側から力があふれているか……俺には、後者のように思える。

今はまだ母上の結界の膜があるから抑えられているけど、真紅から霊力の波動が視える。

誕生日を迎える前にも、真紅には何らか、霊的な影響があるかもしれない』
 

そのときはまだ心のうちでは、そんなこと、と笑えた。


笑えなくなったのは、病院を出て夕陽を見た時だ。


一気に甦った来た、置いて来た記憶。真紅を襲ったものを、真紅ははっきり見ていた。
 

いや、視ていた。
 

今だから理解出来るモノ。
 

闇色の――あれは翼? 背にして、刀を真紅に向けて来た、ヒトの形をしたなにか。