――真紅が恐れているのは、影小路じゃない。
自身の中でははっきりとわかっていた。
退鬼師なんてものの、血筋であることが嫌だ。
(ごめん、なさい……)
もう逢えないのは、私の方だった。
そしてその血であることを、真紅はもう想像の中ですら否定出来ない。
この部屋の中には、涙雨以外のモノはいない。
部屋の外、さきほど見た窓の外には、樹が見える。
その枝という枝に、今まで漫画や映画の中でしか見たことのなかった、形容しがたいモノが並んでこちらを見ていた。
あれが……おばけとか、幽霊とかいうモノ。
涙雨の本当の姿が視えていると知った黒藤は、真紅に言った。



