好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



――真紅が恐れているのは、影小路じゃない。


自身の中でははっきりとわかっていた。
 

退鬼師なんてものの、血筋であることが嫌だ。


(ごめん、なさい……)
 

もう逢えないのは、私の方だった。
 

そしてその血であることを、真紅はもう想像の中ですら否定出来ない。
 

この部屋の中には、涙雨以外のモノはいない。


部屋の外、さきほど見た窓の外には、樹が見える。


その枝という枝に、今まで漫画や映画の中でしか見たことのなかった、形容しがたいモノが並んでこちらを見ていた。


あれが……おばけとか、幽霊とかいうモノ。
 

涙雨の本当の姿が視えていると知った黒藤は、真紅に言った。