「そのくらいはママが護ってあげるわ。ママ、真紅ちゃんと一緒にいたいっていう願いを、捨てたくはないの。……ママの勝手で、振り回してごめん」
 

――その理由を、真紅は知っている。真紅は唇を噛んだ。


「……真紅ちゃん?」
 

やや俯いた真紅の顔を、紅亜は覗き込んでくる。


「私、昨日、逢ったの」


「……逢った?」


「黒藤さん……ママからしたら、甥っ子になるんだよね?」


「――。黒ちゃんに、逢ったの?」
 

紅亜の声が、一気に緊張したものになった。『黒ちゃん』。


「そっか……もう小路は動いているのね」