どこかに、黎と離れるべき正統な理由はないだろうか。 真紅の気持ちを、完全に黎から切るような理由は。 「……歩きながら話すか。長くなるから」 黎の靴先が、真紅のいつもの帰り道の先へ向いた。 もう逢わないと言われたときは、ずっと手を繋いでいたのに。 今は、真紅が黎から距離を取っている。 黒藤の言葉を、聞いてしまったから。 「体面上、桜城の家では、俺が愛人の子で、架が正妻の子、ってことになってる」 「体面上?」