頬に手を添えられた。心臓が跳ねる。 触れたのは、あの夜以来だ。 黎は微笑を浮かべている。 「大丈夫だ」 なにが? 私はもう、ただの人間ではいられないかもしれない。 ……黎と、関わってはいけない人間かもしれないの。 ――傍にいられないのは、真紅の方かもしれない。 いや、絶対に、自分の方だ。 「真紅……?」 銀色の瞳が覗き込んでくる。 今はどうしても、不安をあおられる色。 黎が、人間ではない証。――鬼である証拠のように。 ぶに、と頬を引っ張られた。