好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「でも私、妖怪? とかおばけとか、見たこともないですよ?」
 

いわゆる霊感というものだろうか。そんなもの、欠片もなかった。


「これ、視えるか?」
 

と、黒藤は手のひらを上向けて見せた。


「……鳥? 紫色の……」
 

黒藤の右掌の上を旋回し出したのは、小鳥だった。
 

真紅の答えを聞いて、黒藤は「ふーむ」と唸った。驚きを見せたのは架だった。


「真紅ちゃん……視えてるの? 涙雨のこと……」


「るう? 小鳥がペットなの?」
 

紫色の小鳥は、ふっと姿を消した。