「でも私、妖怪? とかおばけとか、見たこともないですよ?」 いわゆる霊感というものだろうか。そんなもの、欠片もなかった。 「これ、視えるか?」 と、黒藤は手のひらを上向けて見せた。 「……鳥? 紫色の……」 黒藤の右掌の上を旋回し出したのは、小鳥だった。 真紅の答えを聞いて、黒藤は「ふーむ」と唸った。驚きを見せたのは架だった。 「真紅ちゃん……視えてるの? 涙雨のこと……」 「るう? 小鳥がペットなの?」 紫色の小鳥は、ふっと姿を消した。