好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「なんとゆうか……」
 

真紅はようよう口を開いた。
 

二人の視線が集まる。


「桜城くんが来てなかったら、私逃げてただろうなって思う……」
 

どんなファンタジーを話しているんだか。黒藤は自嘲気味に笑った。


「だろうなあ。俺も、危ない人扱いで警察呼ばれるだろうから、ストレートに話すなって白――幼馴染に怒られてきたとこだ」


「御門のご当主も真紅ちゃんのことご存知のなんですか?」


「みかど?」
 

真紅が訊き返せば、黒藤が答えた。