好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「小路に入る入らないは真紅の自由だ。俺の今一番の目的は、封じが解かれた瞬間に、真紅を護ること。

母上の守護の術は絶大だ。いきなり解ければ、真紅の存在――小路の始祖がいると妖異に知られ、真紅は狙われる。

……脅すつもりではないが、始祖は強大霊力を持つから、妖異に狙われやすい」


「狙われる……?」
 

真紅が反芻すると、黒藤は顎を引いた。


「小路の始祖の転生の血肉を得れば、妖異はまた大きな力を得る。

……簡単に言うと、守護を失った真紅は、妖異に喰らわれる可能性が否定できない。それから護る目的で、俺は今日ここに来た」


「………」
 

話が、突飛過ぎる。