「小路(こうじ)の家でも本家筋と各家の長しか知らない話だが――」
と、黒藤は前置きをした。
「真紅は影小路が始祖の一人の転生なんだ。母上は、真紅の力を封じておくための術をかけ、反動で眠りについた。
真紅が誕生した時刻を迎える瞬間、母上は目覚める。そして、封じられていた真紅の陰陽師としての力は目覚める」
「………」
ぽかーんとするしかない、真紅。架はただ蒼ざめている。
「簡単に言うとこうなるんだけど……すぐには理解しきれねえよな」
黒藤は自嘲気味に笑った。
「そ、それでは、なんですか? 若は真紅ちゃんを小路に入れるおつもりなんですか……?」



