「まず、真紅の母君の紅亜様と俺の母の紅緒は双児の姉妹だ。影小路っていう家で、代々陰陽師をしている」
「陰陽師? て、安倍晴明、とかの……?」
「そう。紅亜様は本家の長子でもあるから、影小路の直系長姫にあたられる。が、生まれてすぐに桜木の家に養子に出されたんだ。それは知ってるか?」
「あ、はい……。ま――お母さんが養子に入って、そこで結婚したっていうのは……」
「紅亜様は陰陽師としての力はないんだ。かわりに、俺の母は力が大きく、先代の当主だった。今は眠っているが」
眠って? それは……もう亡くなられたっていうこと……?
「真紅は――あ、呼び捨てにしていいか? 俺のことも呼び捨てていいから」
「構いませんが……桜城くんは『若君』って呼ぶような方なんですよね?」
真紅は、戸惑いの視線を架に向ける。



