好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



公園を出ようとしたところで、人目を引く青年がこちらを見ているのに気づいた。


ブレザー姿だから、高校生だろうか。


黎ほどではないが長身で、黒髪に銀の前髪が一房混じっている。


きりっとした面立ちで、何故かじっと真紅を見ていた。


あれ? あの髪の色、どっかで……。


危ない人かと思い、迂回しようとしたとき。


「桜木真紅?」


フルネームで呼ばれて、振り返ってしまった。


その声は、青年からだった。


「――若君⁉」
 

直後、黎を追って行ったはずの架が戻って来た。


わ、わかぎみ? って、さっき黎と話していた……?