好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】




誰ともなしに喋って、いつの間にか笑顔が浮かんで。


公園でみんなと別れてから、海雨への報告が増えたことを嬉しく思う。


みんな、海雨のことは気になっていたそうだ。


ただ、真紅ばかりが傍にいるので、近づくに近づけなかったらしい。


……みんなには悪いことをしてしまっていたかもしれない。
 

このまま病院へ行こうか。母は朝来てくれたから、夜すれ違う心配もない。


海雨に話したい。……黎に逢いたい。


(あ、でも黎はお仕事なんだった)
 

黎からは聞いていないが、海雨は病院の職員だと言っていた。


そのあたり、逢ったら訊いておこう。黎から言質(げんち)は取った。


「また」と言ったのは何があっても忘れない。