「『若君』なんて日常で使う言葉じゃないよね……」
「跡継ぎとか言ってるし……」
「由緒あるお家? とかなのかな……」
みんな、真紅を攻撃する毒気が総て抜かれてしまったようだ。
むしろ、同情的な眼差しすら受ける。
「あの……ごめんね? 言えない理由……だったんだね?」
話しかけて来た女子が、そう言った。
むしろ真紅は知らない理由だったが、そう解釈してくれるなら、それでいいだろう。
……二人の家のことは、真紅もほとんど知らないし。
「今まで、ごめんなさい。今日は……最初から謝るつもりで、みんな呼んだの」
「へ?」
最初から? 昨日より大人数なのは不思議に思っていたけど……。



