「桜城く……」 女子の一人が、引き攣った声を出す。 「ごめんね。みんなが一緒に出てくの見て、気になっちゃって。……俺が真紅ちゃんの近くにいたの、理由は黎なんだ」 『え?』 どういう意味だろう、と真紅も考える。 昨日、架は自分に考えがあるから、取りあえず黎が彼氏ということで紹介して、と言われたのだ。 それ以上のことは教えてもらっていない。 「黎は――真紅ちゃんの彼氏は、俺の兄貴なんだ」 『!』 そこまで話すんだ。 黎に異論はないようだが不服なようで、どんどん不機嫌な顔になっていく。