好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】






「そっか……ごめんね? そんなことになってるって知らなくて……」


「いや、私も言う気はなかったし……」
 

真紅を間に置いて、三人が並んで座るという奇妙な形に落ち着いてしまった。


「お前の周囲への態度に問題でもあんじゃねえのか?」


「黎に言われたくない。って言うか黙ってろ」


「………」
 

この兄弟、あんまり仲がよくない……? のかな……。


架の態度が、一度も見たことないほど荒れている。


架の今までの印象では、これでも真紅の認識だと『荒れている』方なのだ。


「でも、それなら俺がどうにかするよ」


「や、これは私の問題だし」


「でも原因は俺でしょ? 真紅ちゃんが彼氏役に頼ったのが黎なら、ちょうどいい」


「へ?」
 

意味のわからない真紅だったが、その隣では黎がげんなりと疲れていた。