「んー? 真紅は影小路の血筋ですよ?」 「怪しまれるだけだろ」 いきなりそんな人が現れたら。 「従兄のお兄さんですよ?」 「それはそうだが……真紅嬢は紅緒様のことは知らんだろう? 紅亜様がお前のことを知ってるかも怪しいし……」 紅亜は生後間もなく養子に出されていると聞く。 本家の内情に、どこまで精通しているのか……。 「じゃ――から説明するしかねーのか……」 黒藤は目に見えて項垂れた。 面倒くさいだろうが、それが正道だろうに。