先代当主である黒藤の母――紅亜の双児の妹の紅緒は、十六年前、一つの大きな術をかけることと引き換えに、眠りについた。 永劫の眠りではなく、その間、持ちうる力の総てで、ある一人の少女を守護するためのもの。 それが、姉の娘である真紅だった。 紅亜に陰陽師としての力は薄い。 だが、その娘である真紅は――影小路を創った、始祖の一人の転生(てんせい)であった。