真紅がその人と逢ったことは一度もない。

実の父親がどうしていないかは知っている。


あれはあれでなかなか複雑だから、真紅に言えたこともない。


それが原因で、紅亜は真紅ともども桜木の家から絶縁されたのだ。


しかし紅亜に恋人がいないとなると、どうして真紅を独りにしているかがわからない。
 

叶うなら、一緒に暮らしたい。


「………」
 

考えてもわからないことなので、一旦放棄することにした。


それより今は、黎のこととか。海雨のこととか。
 

明日も海雨のところへ行こう。


海雨とは保育園からの友達で、一番真紅をわかろうとしてくれる子だ。