「今のところ、バレてないっぽい?」



あの人が追ってくる気配はない。


ホッと息をついた。




刹那、すぐそばの突き当たりの奥から――ドゴッ!、ボコッ!と鈍い音が響いた。



今度は何?

こっちでも喧嘩?




突き当たりを、繁華街のある方向に曲がったところを覗けば、案の定1対1で闘っていた。


勝敗は一目瞭然で、片方が容赦なく叩き潰し、片方は既にボロボロ。



うわー、悲惨。




え?今回は助けないのかって?


さっきはいかにも弱い者いじめしてたから助けたけど、あれはどう見ても不良同士の因縁だろう。



そんな面倒なものに関わる気は、毛頭ない!