気だるさを感じながらも、いそいそと身支度を済ませる。


私の通っている高校の制服はブレザー型なので、学ランを着て男装している時といつもの私の姿とは、ちょうどかぶらない。



「よし、完璧!」



軽く髪をとかして、カバンを持って部屋を出る。




階段を下りて、ダイニングキッチンに入った。


テレビから、先日新しく決まった首長がどうたらこうたら……、堅苦しいニュースが流れてくる。




「おっそい!もうっ、コーヒー冷めちゃったじゃない」


「ごめんごめん。あれ?お父さんは?」


「もう仕事行ったわよ」


「ふーん、早いね」




椅子に座って、お母さんが温め直してくれたコーヒーを一口飲んだ。



暇を持て余したお母さんが、趣味で作ったパンが、テーブルに並んでいる。


今日も朝食はパンか。

私、朝は和食派なんだけどな。




「あ、そうだ。あのね、お母さん。私、神雷に入ることになったよ」



非常に不本意で、強引で。


つい、投げやりになっちゃって。