「んじゃ、洋館に行こうぜ」


「えっ、朔も行くの?」


「送ってやるよ」



心配してくれてるってわかってて、あえて「えー」と嫌がるフリをした。


朔が不機嫌になって、「嘘、嘘。ありがと」と口元を緩めたら、真修が呆れ半分に微笑んだ。



私らしくいたかった。




「さらに雨が強くなったら嫌だから、早く行こっ」


「雨が弱まるまで、朔は洋館で雨宿りしたら?」


「そうだな」



真修の提案に、朔は頷く。



タオルで雨を拒みながら、私達は走り出した。


太陽の光は、まだ、悪い子な私を照らしてはくれない。




たまり場に着くと、扉越しにもかかわらず、盛大に賑やかな声が聞こえてきた。



「相変わらず騒がしいな」


「うん、毎日楽しいよ。ねっ、真修!」


「うるさすぎる時もあるけどね」



私の、大好きな居場所。

どろどろに濁っても、燦々と明るく彩ってくれる。



軽く雨粒を払って、豪華な装飾が施された重厚な扉をおもむろに開けた。







――ギィ……バタン。





【Ⅰ】end
▹▸▹ To be contonued in【Ⅱ】