誰かを傷つける方法しか……そんな不器用な守り方しか知らないし、できない。



また間違うかもしれない。


伝えたい気持ちは、伝わらないまま風化してしまうかもしれない。



けれど、「それでも頑張れる」と真っ向から言えるくらい、守りたい人達ができた。



もしも、“あの日”と同じように、ヒーローの存在が願望のまま儚く消えてしまっても。


守りたい人達を守りきることができるなら、いくら傷を負っても構わない。




「大丈夫だ」



くしゃくしゃっと凛に優しく頭を撫でられ、自然と瞳に涙の膜が張った。




「お前なら、ヒーローになれる」



――なんだ、そうだったのか。




凛と委員長は、別人だと思っていた。



委員長は何にだって一生懸命で、親切で真面目で、些細なことにも真剣で。

物事は必ず最後までやり遂げる人だった。



無機質な凛とは、全然似てない。