師匠からの電話が運んできた、救援の要求。


私は起き上がって、スマホをベットの上に放り捨てた。



「行かなくちゃ」



師匠を、皆を、助けたい。

助けなくてはいけない。


衝動に駆られて、自分の部屋を飛び出していた。




私、何やってるんだろう。


私は神雷を抜けたのに。


私は神雷の悪役になったのに。


どうして。




疑問になっていない愚問が、思考回路をグルグル巡っている間にも、足は止まらずに動き続けている。


はぐらかしていても、欺いていても、本心は明瞭に浮かび上がっていた。




急いで靴を履いて、「行ってきます」も無しに家を出る。


お母さんの「行ってきますはー!?」と叱責する声をシャットアウトするかのように、玄関の扉を閉めた。



神雷のたまり場に急がなくちゃ。