BAD & BAD【Ⅰ】





ずっと黙り込んでいた私がお腹を抱えて嗤い出したことに、桃太郎は驚きを隠せない。



「こ、幸珀?」


「あはは!あー、おっかし」



引いていった嗤笑の代わりに、不敵な笑みを浮かべる。



「えーっと、なんだっけ?私はあんた達を想って、自己犠牲精神で嘘ついて、悪役ぶってる……だっけ?」



その通りだよ。

とは、言えない。



「そう思いたければ思えば?」



ごめんね。



桃太郎は弱い心を包み隠さず明かしてくれたのに、私は欺いて逃げて隠してばかり。


それでも、私は偽り続ける。



そんなんだから私は、桃太郎のように本当の意味でかっこよくなれないんだ。




「桃太郎がどれだけ私を美化して、理想を押し付けても、別にいいんだけどさ。私が神雷を騙してた事実は変わらないからね?」