BAD & BAD【Ⅰ】






曖昧にごまかす私に、桃太郎の喉から呟きが漏れる。



「お前、本当は、悪役ぶってるだけなんじゃねぇのか……?」



どうして。

今、そんなこと。



お互いの瞳が、震えていた。



「なあ、そうなんだろ?俺らを騙して遊んでた、なんてのは嘘で、お前はただ純粋に神雷で過ごす時間を楽しんでたんだろ?」



桃太郎はすがりつくみたいに、表情を強張らせた。




「昨日は、わざと神経を逆なでするような言葉を選んで、全員の意識を自分に集めたんじゃねぇの?」


「……」


「困惑してた俺らが、ぐちゃぐちゃになって、仲間割れしねぇように」


「……」


「俺らのためを想って、自分を犠牲にして、今もなお悪役を演じてるんだろ?なあ、幸珀!なんとか言えよ!」




数秒の沈黙を遮ったのは、私の高らかな笑い声だった。