曖昧にごまかす私に、桃太郎の喉から呟きが漏れる。
「お前、本当は、悪役ぶってるだけなんじゃねぇのか……?」
どうして。
今、そんなこと。
お互いの瞳が、震えていた。
「なあ、そうなんだろ?俺らを騙して遊んでた、なんてのは嘘で、お前はただ純粋に神雷で過ごす時間を楽しんでたんだろ?」
桃太郎はすがりつくみたいに、表情を強張らせた。
「昨日は、わざと神経を逆なでするような言葉を選んで、全員の意識を自分に集めたんじゃねぇの?」
「……」
「困惑してた俺らが、ぐちゃぐちゃになって、仲間割れしねぇように」
「……」
「俺らのためを想って、自分を犠牲にして、今もなお悪役を演じてるんだろ?なあ、幸珀!なんとか言えよ!」
数秒の沈黙を遮ったのは、私の高らかな笑い声だった。



