「それで、えっと、いじめに発展しちゃったんだっけ。かわいそっ」
「同情すんな」
「え?……ああ、違うよ」
「は?違う?」
桃太郎の眉間に、しわが寄る。
私が可哀相って言ったのは、桃太郎にじゃないよ。
「可哀相なのは、いじめてる側」
「いじめられてる側じゃなくて、いじめてる側?」
「だってさ、自分が最低な行為をして、人を傷つけてる自覚がないんだよ?そのくせ、誰かにバレたら『いじめじゃない。いじってただけだ!』なーんて、だっさい言い訳したりするしさ」
いじめかどうかを判断するのは、いじめられてる側。
遊び半分でいじめてる奴らを見ると、反吐が出る。
「いじめてる側って、して良いことと悪いことの区別もつかない、惨めな奴らだなあって同情するよ」
“あの日”から、いじめがもっと嫌いになった。
いじめる奴は、愚かだ。



