BAD & BAD【Ⅰ】






「それで、えっと、いじめに発展しちゃったんだっけ。かわいそっ」


「同情すんな」


「え?……ああ、違うよ」


「は?違う?」




桃太郎の眉間に、しわが寄る。


私が可哀相って言ったのは、桃太郎にじゃないよ。



「可哀相なのは、いじめてる側」


「いじめられてる側じゃなくて、いじめてる側?」


「だってさ、自分が最低な行為をして、人を傷つけてる自覚がないんだよ?そのくせ、誰かにバレたら『いじめじゃない。いじってただけだ!』なーんて、だっさい言い訳したりするしさ」



いじめかどうかを判断するのは、いじめられてる側。


遊び半分でいじめてる奴らを見ると、反吐が出る。




「いじめてる側って、して良いことと悪いことの区別もつかない、惨めな奴らだなあって同情するよ」




“あの日”から、いじめがもっと嫌いになった。


いじめる奴は、愚かだ。