桃太郎が、その運命的な出会いとやらを、語って聞かせたいだけじゃないの?
それならそうと最初から素直にそう言ってくれれば、「暇つぶしに聞いてやるよ」って、朔を見習って俺様風に許可してやったのに。
一度、俺様になってみたかったんだよね。
「――あれは、俺が中1だった頃。当時の俺は、今とは違っていじられキャラだったんだ」
「今とは違う?今と同じで、の間違いじゃない?」
「今はいじられてねぇし!」
「私と弘也にいじられてたじゃん。自覚なかったの?」
「俺がお前らをいじってるんだ!!」
いやいや、なにバカなことを主張しているんだこいつは。
どう考えても、いじられてるのはそっちだろうが。
目ぇ腐ってんの?
その言い訳、苦しすぎるよ。
「で?いじられキャラな桃太郎の中学生活はどうなったの?」
「一緒につるんでた奴らの態度がだんだんとひどくなって、いじられるというよりはいじめられてるような感じになっちまったんだ。……って、どうしてお前が仕切ってんだよ!?」
「そっちが話を進めないからでしょー?」
「進めないんじゃねぇ!お前がいちいち話を止めるんだろ!?」
「八つ当たりするなんて、ひどいわ。幸珀ちゃん、傷ついちゃう」
「急に女っぽくなんな、きめぇよ!それと、八つ当たりじゃなくて事実だ!」



