「連絡先、交換しましょう」



意外と天使は勘がいいらしい。


朔に負けず劣らずのハイスペックだな。



お互いに連絡先を交換し、万が一のことを案じて、下の名前だけ教えておくことにした。



例えば、近くにいる他のお客さんが天使に一目惚れして、たまたま天使のフルネームを聞いて、いろいろ検索しちゃったりなんかした時には……そいつ殺す。


まあ、これは極端な例ではあるけれども。

そういう危険がないとは言い切れないから、連絡先もフルネームは登録しないようにした。




「私、幸珀。天……あ、あなたは?」


「唄子【ウタコ】です」


「可愛い名前だね」


「ありがとうございます。ひろちゃんの同級生っていうことは、あたしの1つ上ですね。今日はひろちゃん探しのお手伝い、よろしくお願いします、幸珀先輩」




可愛い名前の可愛い子に、可愛い声で可愛らしく「幸珀先輩」って呼ばれちゃった。


天に召されそう。生きててよかったよ。ガチで。