夏休み初日の朝。




間違えてセットしてしまった目覚まし音が、耳元で眠気を吹き飛ばす。



「うるっさい!!」



反射的に目覚ましを鷲掴んで投げ飛ばそうとしたが、寸前でなんとかストップした。



危うく目覚ましを壊すところだった。


ごめんよ、目覚ましさん。

いい子いい子してあげるから許して。



「……睡魔に勝てちゃった」



いつもは目覚ましが鳴っても聞こえていないか、無意識に止めてるかのどちらかなのに。


今日は鳴った瞬間に目が冴えた。




睡魔に勝てたのには、理由がある。



うまく寝付けなかったからだ。


珍しく、眠くならなかった。



たかやんが聞いたら、びっくりして目ん玉が飛び出しちゃうかもな。