桃太郎は、気づいているのだろうか。


今、ものすごく泣きたそうな、苦しそうな、ボロボロに歪んだ表情をしていることに。



なあ、桃太郎。

本当はお前も、知ってるんだろ?


今まで俺らのために動いてくれていた幸珀が、俺らを傷つけるはずなんかねぇ、って。




「そうだ!」



すると、シリアスな雰囲気に全く似合わない、京の陽気な声がざわめきを消した。




「遊園地に行こうよ!」




あまりに突飛なひらめきに、静けさが漂った。


は?

なに言ってんだ?



「こんな時に~?」


「こんな時だからこそ、だよ」



この場にいた全員が感じていた疑問を弘也が代表して問いかければ、京は朗らかに微笑んだ。