「……俺は、凛さんみてぇに、思えません」



弘也に聞いた話によると、桃太郎は幸珀の加入を許可したものの、最後の最後まで幸珀を「新入り」と呼び続けた。


神雷のメンバーの中で桃太郎だけが、幸珀を認めていなかったんだ。



だから余計に、感情を荒立たせている。




「だって、……だって、」


拙い呟きが、こぼれ落ちる。




「剛の時とは、状況が違ぇじゃねぇか。剛はほとんど何も言わずに立ち去ったけど、あいつは違う!」


「も、桃太郎」


「あいつが、あいつ自身の口で、暴露したんだぞ!?俺らを騙して遊んでた、って!!」


「桃太郎」


「本当は今までずっと、腹ん中で俺らを嘲笑ってたかもしれねぇ、のに……なんで、だよ。なんで……なんで、凛さんまで、あいつは悪い奴じゃねぇって、言えるんすか……っ」


「桃太郎っ!」




3回目の呼びかけで、ようやく桃太郎がハッと我に返った。