「逃げんなよ」


「逃げてねぇよ!」


「そうやって上辺だけに惑わされて、本質を見抜こうともせずに取り乱してんのが、逃げてるっつーんだよ!!」


「……っ」


「これじゃ、前となんにも変わんねぇじゃねぇか……!」




あの悪夢を二度も繰り返すなんてごめんだ。



もう、間違えたくない。


今度は俺も逃げねぇから、お前らも逃げんなよ。



逃げ道を探すより、前だけ向いて突っ走る方が、ずっと心地よい。



「たとえ幸珀の正体を知らなかったとしても、俺はあいつが悪い奴だとは思えねぇよ」


「俺も、そう思う」



同意してくれたのは、まさかの凛だった。




きっと、凛も、わかってる。



幸珀はバカでアホでウザくて意味不明で鬱陶しいけど、それがきっと幸珀のいいところで。


知らぬ間に、神雷には欠かせない、ピースの1つになっていたんだ。