バタンッ、と重厚な扉が閉まる音が、虚しく鳴った。


幸珀がいなくなった洋館内は、静寂に包まれていた。





既視感に、囚われる。




まるで、剛が神雷を出て行った、あの悪夢の日が再来したかのようだ。



どうして、俺は何も言えなかったんだろう。


無意識にまた、本音を発するのを恐れてしまったのだろうか。





「……っ、あ、あの、」



誰もが現実についていけなくて固まっていたその時、唐突に真修が頭を下げた。


真修?いきなりどうしたんだ?



「す、すみません!!」



震えた謝罪が、クリアに響く。



「俺、知ってたんです。幸珀が女だって。黙っててすみませんでした!」


「な、んだと……?」



桃太郎が驚きの声を上げた。